ある夏の日のこと、私はキッチンでいつものようにお米を研ごうとして絶句しました。透明な米びつの中で、数匹の黒い小さな虫が元気に歩き回っていたのです。袋はしっかり閉じていたはずだし、買ってきたばかりのお米なのになぜ、という疑問が頭の中を駆け巡りました。米虫はどこから湧いてくるのか、その謎を解き明かしたい一心で調べ始めたのが、私の米虫研究の始まりでした。調べて分かったのは、彼らがお米の袋を「家」として選ぶ能力がいかに優れているかということです。特にコクゾウムシは、その名の通り象の鼻のような長い口を使ってお米に穴を開け、そこに卵を隠します。スーパーで売られているお米は高度な選別機を通っていますが、粒の中に隠された卵までは完全に取り除くことが難しいのが現状だそうです。つまり、私は虫を外から入れたのではなく、お米と一緒に大切な「卵」を買い込んでいたというわけです。また、別の機会には羽の生えた小さな蛾を見つけましたが、これはノシメマダラメイガという種類でした。彼らはビニール袋の目に見えないほど小さな通気孔を見つけ出したり、薄いビニールなら自力で噛みちぎって侵入したりするそうです。それを知った時、私は自分のこれまでの保存方法がいかに無防備だったかを痛感しました。ただ袋の口を縛るだけでは、彼らの侵入を阻止するには不十分だったのです。それ以来、私はお米を購入したらすぐに丈夫なタッパーや、ペットボトルに入れ替えて冷蔵庫で保管するようになりました。十五度以下の環境では米虫は活動できず、孵化することもありません。あの時のショックは大きかったですが、米虫がどこから来るのかを正しく理解したことで、今は落ち着いて対処できています。虫が湧くということは、それだけお米が農薬漬けではなく自然なものである証拠だ、と前向きに捉えることもできるようになりました。もちろん、食べるときにはしっかり洗って取り除けば健康に害はありませんが、やはり精神的なダメージは避けたいものです。毎日の食卓を守るためには、敵の正体と侵入ルートを知り、先手を打つことがいかに重要かを学びました。
密封された米袋の中で動き出す小さな命の謎