広大な緑地と多くの家族連れで賑わう市立公園の管理責任者として二十年以上勤務してきた私が、最も神経を使う業務の一つが、年間を通じた蜂の巣対策です。公園という場所は、蜂にとっても餌となる昆虫や樹液が豊富で、かつ営巣に適した樹木が無数にある、いわば「蜂の楽園」です。しかし、そこが市民の憩いの場である以上、私たちは蜂と人間が接触しないための徹底的な管理体制を敷かなければなりません。私たちの蜂の巣対策は、冬の間の剪定作業から始まります。落葉した樹木の枝ぶりを詳細にチェックし、前年に作られた古い巣の跡がないかを確認します。蜂は同じ環境を好むため、古い巣の跡がある場所は翌年も狙われる確率が非常に高いのです。春先になると、私たちは「蜂のパトロール隊」を編成し、毎朝、子供たちが遊ぶ遊具の周辺やベンチの裏、トイレの軒下などを徹底的に目視点検します。特に五月頃に出現する初期の巣は、まだ小さくて見逃しやすいですが、この段階で見つけて撤去することが、夏休みの繁忙期に事故を起こさないための絶対条件です。また、公共スペースならではの苦労として、強力な薬剤を散布しにくいという制約があります。そのため、私たちは物理的な蜂の巣対策として、蜂が入り込みそうな東屋の天井隙間や看板の裏側に、あらかじめ細かい網目のネットを張ったり、パテで隙間を埋めたりする作業を重視しています。もし、開園時間中に巣の発見報告があった場合は、即座にそのエリアを封鎖し、専門の駆除班が到着するまで安全を確保します。市民の皆様には、蜂を見かけても決して手で払ったり石を投げたりしないよう、掲示板や放送で繰り返し啓発活動を行っています。蜂の巣対策とは、単に虫を殺す作業ではなく、自然という予測不能な存在と、都市生活というルールのある空間との境界線をいかに守り抜くかという、終わりのないコミュニケーションの形だと私は考えています。子供たちが安心して走り回れる公園を維持するために、私たちはこれからも、蜂の動きに細心の注意を払いながら、目立たない場所での地道な対策を続けていく覚悟です。