爽やかで、リフレッシュ効果のある「柑橘系の香り」。レモンやオレンジ、グレープフルーツといった、これらの香りが嫌いな人はあまりいないでしょう。しかし、私たち人間にとっては心地よいこの香りが、実はゴキブリにとっては、逃げ出したくなるほど不快な匂いであるという事実をご存知でしょうか。この性質を利用すれば、リビングや寝室といった、私たちがリラックスしたい空間を、心地よい香りで満たしながら、同時にゴキブリ対策も行うという、一石二鳥の効果を得ることができます。柑橘系の果物の皮に含まれている、あの独特の爽やかな香りの主成分は、「リモネン」という精油成分です。このリモネンが、ゴキブリに対して高い忌避効果を持つことが、様々な研究で知られています。そのメカニズムは、ハッカ油のメントールと同様に、リモネンがゴキブリの嗅覚器を強く刺激し、神経系に作用することで、彼らにとっての危険信号となるためだと考えられています。このリモネンの力を、ゴキブリ対策に活用する方法は、非常に簡単です。最も手軽なのは、レモンやオレンジの皮を、食べた後に捨てずに活用することです。皮を乾燥させ、ネットなどに入れて、ゴキブリが出てきそうな場所、例えばゴミ箱の周りや、部屋の隅、あるいはクローゼットの中などに置いておくだけで、天然の忌避剤となります。また、レモンやオレンジ、グレープフルーツなどの柑橘系のアロマオイル(精油)を使うのも、非常に効果的です。ハッカ油スプレーと同様に、無水エタノールと水で希釈して、オリジナルのアロマスプレーを作り、網戸やカーテン、あるいはソファの下などに吹き付けておけば、部屋中を爽やかな香りで満たしながら、ゴキブリの侵入を防ぐことができます。アロマディフューザーを使って、日常的に香りを拡散させるのも良いでしょう。ただし、猫を飼っているご家庭では、注意が必要です。猫は、リモネンをはじめとする一部の精油成分を、体内でうまく分解することができず、中毒症状を引き起こす危険性があるとされています。猫のいる空間での、アロマオイルの使用は避けるのが賢明です。
ゴキブリを寄せ付けない柑橘系の香りの力