大切に育てている観葉植物の周りを、小さなハエのような虫が飛び回り始め、気になって土の表面をよく見てみると、白く半透明な、小さな幼虫がうごめいていた。そんな、ガーデナーにとっては悪夢のような状況に、頭を悩ませていませんか。この、観葉植物の土から発生するハエの幼虫の正体は、私たちが一般的にイメージするイエバエのウジではなく、主に「キノコバエ」や「クロバネキノコバエ」といった、コバエの仲間の幼虫です。彼らは、イエバエのように不衛生な場所を好むわけではなく、湿った土壌と、そこに含まれる有機物を餌として繁殖します。特に、観葉植物の用土としてよく使われる「腐葉土」や「ピートモス」、あるいは「有機肥料」は、彼らにとって最高のレストラン兼保育室となります。水のやりすぎで、土が常にジメジメした状態になっていたり、鉢の受け皿に水が溜まったままになっていたりすると、彼らは爆発的に繁殖し、成虫が部屋中を飛び回るという、不快な事態を招きます。彼らは人間を刺したり、病気を媒介したりすることはありませんが、その存在は、植物の生育環境が悪化しているサインであり、何よりも精神的なストレスとなります。この問題を解決するためには、まず、土壌の「乾燥」を心がけることが重要です。水やりは、必ず土の表面が乾いてから行い、受け皿の水は毎回捨てることを徹底してください。鉢の周りの風通しを良くすることも、土の乾燥を促す上で有効です。すで-発生してしまった幼虫を駆除するには、土の表面を数センチ、新しい無機質の土(赤玉土や鹿沼土など)に入れ替える「表土替え」が効果的です。また、土の表面に、木酢液を薄めた水をスプレーしたり、ニンニクを一片埋め込んだりするのも、天然の忌避剤として機能します。もし、これらの方法で改善しない場合は、一度、植物を鉢から抜き、古い土を全て落として、新しい土で植え替えるのが、最も確実なリセット方法です。植物への愛情とは、時に、過剰な水分を断つという、厳しさも必要なのです。