ゴミ箱の中や、キッチンの隅で、うごめくハエの幼虫(ウジ)の集団を発見してしまった。その時の衝撃と不快感は計り知れませんが、パニックにならず、冷静に、そして正しい手順で対処することが、被害の拡大を防ぎ、衛生的な環境を取り戻すために不可欠です。まず、絶対にやってはいけないのが、パニックのあまり、殺虫スプレーをむやみに噴射して、その場から逃げ出してしまうことです。これでは、生き残った幼虫が四方八方に散らばり、手の届かない場所で蛹になってしまう可能性があります。ウジを発見した場合の駆除の基本は、「物理的な除去」と「熱」による殺虫です。準備するものは、ゴム手袋、マスク、ビニール袋、そして熱湯です。まず、ゴム手袋とマスクを着用し、ウジが発生しているゴミや汚れを、ほうきとちりとり、あるいはスコップなどを使って、そっと集め、用意したビニール袋に入れます。この時、幼虫を潰さないように注意してください。次に、集めたウジが入ったビニール袋の中に、沸騰したお湯を注ぎ込みます。ウジは高温に非常に弱く、60度以上のお湯で即死します。熱湯を注いだら、すぐに袋の口を固く縛り、蒸気で中の温度を保ちながら、完全に死滅させます。その後、可燃ゴミとして処分してください。幼虫を取り除いた後も、その場所には、見えない卵や、雑菌が付着しています。発生場所となっていたゴミ箱や床を、洗剤とブラシで徹底的に洗浄し、再度、熱湯をかけて消毒します。最後に、アルコール除菌スプレーなどで仕上げの拭き上げを行えば、完璧です。もし、広範囲に発生してしまい、熱湯が使えないような場所であれば、市販のウジ専用の殺虫剤(粒剤や液剤)を使用するのも有効です。いずれにせよ、発見したら、見て見ぬふりをせず、その日のうちに、勇気を出して対処すること。その迅速な行動が、次世代のハエの誕生を防ぎ、家の平和を守るのです。