家や庭で、カメムシやヤスデといった「臭い虫」に遭遇した時、パニックと不快感から、つい反射的に取ってしまう行動が、実は事態をさらに悪化させる、最悪の「NG行動」である場合があります。ここでは、多くの人が陥りがちな、臭い虫対策に関するよくある間違いを解説します。正しい知識を身につけ、二次被害を防ぎましょう。NG行動その1は、何と言っても「叩き潰す・掃除機で吸う」ことです。これは、カメムシ、ヤスデ、シバンムシアリガタバチ、全ての臭い虫に共通する、最大の禁じ手です。これらの虫は、外部から強い物理的な刺激を受けると、防御反応として、悪臭の元となる液体やガスを放出します。叩き潰せば、その体液が床や壁に飛び散り、強烈な臭いと、落ちにくいシミを残します。掃除機で吸い込めば、内部で虫が砕け、排気口から悪臭が部屋中に拡散され、掃除機自体が臭いの発生源と化すという、悲惨な結果を招きます。正解は、彼らを刺激しないように、ペットボトルやガムテープなどで、そっと捕獲し、屋外に逃がすか、あるいは袋に入れて密閉して捨てることです。NG行動その2は、カメムシに対して「殺虫剤を至近距離で噴射する」ことです。確かに殺虫剤は有効ですが、驚いたカメムシは、死ぬ間際に、最後の力を振り絞って臭い液体を噴射することがあります。殺虫剤を使う場合は、できるだけ距離を取り、屋外など、臭いが拡散しても良い場所で使用するのが賢明です。NG行動その3は、ナメクジやキセルガイ、ヤスデの対策として、安易に「塩を撒く」ことです。確かにこれらの虫は塩で死にますが、庭や花壇の土壌に塩分が蓄積すると、植物の生育を阻害する「塩害」を引き起こし、土そのものをダメにしてしまいます。環境への影響を考え、塩の使用は避けるべきです。NG行動その4は、「大量発生を放置する」ことです。「そのうちいなくなるだろう」という楽観的な考えは、問題をさらに深刻化させます。彼らが大量発生しているということは、あなたの家の周りの環境が、彼らにとっての楽園になっている証拠です。根本的な原因である、湿気や雑草、侵入経路といった環境問題に対処しない限り、悪臭との戦いは、来年も、またその次の年も、永遠に繰り返されることになるのです。